高村光太郎の名言格言78選

高村光太郎(たかむら こうたろう)

職業:詩人、歌人、彫刻家、画家 誕生:1883年3月13日 死没:1956年4月2日 出身:東京府東京市下谷区下谷西町三番地(現在の東京都台東区東上野一丁目)

本名は光太郎と書いて「みつたろう」と読む。日本を代表する彫刻家であり画家でもあったが、今日にあって『道程』『智恵子抄』などの詩集が著名で、教科書にも多く作品が掲載されており、日本文学史上、近現代を代表する詩人として位置づけられる。著作には評論や随筆、短歌もあり能書家としても知られる。弟は鋳金家の高村豊周であり甥は写真家の高村規。父である高村光雲などの作品鑑定も多くしている。

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高村光太郎の名言格言

貴様一人や二人の生活には有り余る命の糧が地面から湧いて出る 透きとほつた空気の味を食べてみろ そして静かに人間の生活といふものを考へろ

一生を棒にふって人生に関与せよ

悪魔に盗まれそうなこの幸福を 明日の朝まで何処へ埋めて置こう

智恵子は東京に空が無いといふ、ほんとの空が見たいといふ

おれは思ふ、人間が天然の一片であり得る事を。おれは感ずる、人間が無に等しい故に大である事を。ああ、おれは身ぶるひする、無に等しい事のたのもしさよ。無をさへ滅した必然の瀰漫よ

あのやくざに見えた道の中から 生命(いのち)の意味をはっきりと見せてくれたのは自然だ 僕をひき廻(まわ)しては目をはじきもう此処(ここ)と思うところで さめよ、さめよと叫んだのは自然だ これこそ厳格な父の愛だ

いったん此世にあらわれた以上、美は決して滅びない

進歩は実に遅く不確かなものです。やがて出しぬけにそれがひらかれます。人は前に出ます。けれども暗中模索の幾年かあとの事です

予約された結果を思ふのは卑しい。正しい原因に生きる事、それのみが浄い

母を思ひ出すとおれは愚にかへり、人生の底がぬけて怖いものがなくなる。どんな事があらうともみんな死んだ母が知つてるやうな気がする

牛は自分の孤独をちゃんと知っている 牛は食べたものを又食べながら ぢっと淋しさをふんごたえ さらに深く、さらに大きい孤独の中にはいって行く

あなたが 黙って 立ってゐると まことに 神の造りしものだ

僕にとつてあなたは新奇の無尽蔵だ

道端のがれきの中から黄金を拾い出すというよりも、むしろがれきそのものが黄金の仮装であったことを見破る者は詩人である

わたくし事はけちくさいから 一生を棒にふつて道に向ふのだ

どこかに通じている大道(だいどう)を僕は歩いているのじゃない

日常の瑣事にいのちあれ 生活のくまぐまに緻密なる光彩あれ われらのすべてに溢れこぼるるものあれ われらつねにみちよ

女が付属品を棄てるとどうしてこんなにも美しくなるのだろうか

丁度そのとき事態は一変した にわかに眼前にあるものは光を放射し 空も地面も沸く(わく)様に動き出した そのまに自然は微笑をのこして僕の手から永遠の地平線へ姿をかくした

わたしの手からとつた一つのレモンを あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ トパアズいろの香気が立つ

こころよわがこころよ ものおぢするわがこころよ おのれのすがたこそずゐいちなれ

待つがいい、さうして第一の力を以て、そんな問に急ぐお前の弱さを滅ぼすがいい

世界がわかわかしい緑になつて 青い雨がまた降つて来ます

五臓六腑のどさくさとあこがれとが訴へたいから 中身だけつまんで出せる詩を書くのだ。詩が生きた言葉を求めるから 文(あや)ある借衣を敬遠するのだ

心の地平にわき起るさまざまの物のかたちは入りみだれて限りなくかがやきます。かうして一日の心の営みをわたしは更け渡る夜に果てしなく洗ひます

僕の前には広漠(こうばく)とした岩疊(いわだたみ)な一面の風景がひろがっている その間に花が咲き水が流れている 石があり絶壁(ぜっぺき)がある それがみないきいきとしている 僕はただあの不思議な自憑(じひょう)の督促のままに歩いてゆく

新郎と新婦と手をとりて立てり 汝等は愛に燃え、情欲に燃え 絶大の自然と共に猛進せよ

ああ、自然よ。父よ。僕を一人立ちに指せた廣大な父よ。僕から目を離さないで守る事をせよ。常に父の気魄を僕に充たせよ。この遠い道程のため。この遠い道程のため

詩の翻訳は、結局一種の親切に過ぎない

私は人から離れて孤独になりながら あなたを通じて再び人類の生きた気息に接します ヒユウマニテイの中に活躍します すべてから脱却してただあなたに向ふのです 深いとほい人類の泉に肌をひたすのです

智恵子は遠くを見ながら言う 阿多多羅山の山の上に 毎日出ている青い空が 智恵子のほんとの空だという あどけない空の話である

私はあなたの愛に値しないと思ふけれど あなたの愛は一切を無視して私をつつむ

どんよりけむる地平のぼかしは うすもも色の朝のしめりだ

――何といふ光だ 何といふ喜だ

重いものをみんなすてると、風のように歩けそうです

土壌は汚れたものを恐れず 土壌はあらゆるものを浄め 土壌は刹那の力をつくして進展する

そしてその気魄(きはく)が宇宙に充ちみちた 驚いている僕の魂はいきなり「歩け」という声につらぬかれた

前後のわからないような、むつかしい考に悩んだりする事がある度に、小父さんはまず足の事を思ってみる。自分がほんとにしっかり立って、頭を上にあげているかしらと思ってみる

そして僕はここまで来てしまった このさんたんたる自分の道を見て 僕は自然の広大ないつくしみに涙を流すのだ

私は驚いて空を見る。桜若葉の間に在るのは、切つても切れないむかしなじみのきれいな空だ

子供になり切ったありがたさを僕はしみじみと思った どんな時にも自然の手を離さなかった僕は とうとう自分をつかまえたのだ

老人になって死でやっと解放され、これで楽になっていくという感じがする。まったく人間の生涯というものは苦しみの連続だ

汝を生んだのは都会だ 都会が離れられると思ふか 人間は人間の為した事を尊重しろ 自然よりも人口に意味ある事を知れ

年で洗われた あなたのからだは 無辺際(むへんさい)を飛ぶ 天の金属

みしらぬわれのかなしく あたらしきみちはしろみわたれり さびしきはひとのよのことにして かなしきはたましひのふるさと

詩を書かないでいると死にたくなる人だけ死を書くといいと思います

自然に向へ 人間を思ふよりも生きた者を先に思へ 自己の王国に主たれ 悪に背け

僕の肩は重くなった そして僕はもうたよる手が無くなった 無意識にたよっていた手が無くなった ただこの宇宙に充ちている父を信じて自分の全身をなげうつのだ

僕は心を集めて父の胸にふれた すると僕の足はひとりでに動き出した 不思議に僕はある自憑(じひょう)の境を得た 僕はどう行こうとも思わない どの道をとろうとも思わない

命の糧は地面からばかり出るのぢやない 都会の路傍に堆く積んであるのを見ろ そして人間の生活といふものを考へる前に まづぢつと翫味しようと試みろ

そんなにもあなたはレモンを待つてゐた かなしく白くあかるい死の床で

見えも外聞も てんで 歯のたたない 中身ばかりの 清冽な 生きものが 生きて動いて さつさつと 意慾する

僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る

人を信じることは人を救ふ

道は僕のふみしだいて来た足あとだ だから道の最端にいつでも僕は立っている

小鳥のやうに臆病で 大風のやうにわがままな あなたがお嫁にゆくなんて

僕はあなたをおもふたびに 一ばんぢかに永遠を感じる

いやなんです あなたのいつてしまふのが――

牛はのろのろと歩く どこまでも歩く 自然に身を任して 遅れても、先になっても 自分の道を自分で行く

詩学は詩の屍体解剖である

何という曲がりくねり迷いまよった道だろう 自堕落(じだらく)に消え滅びかけたあの道 絶望に閉じ込められたあの道 幼い苦悩にもみつぶされたあの道

かぎりなくさびしけれども われはすぎこしみちをすてて まことにこよなきちからのみちをすてて いまだしらざるつちをふみ かなしくもすすむなり

いくら非日本的でも、日本人が作れば日本的でないわけには行かないのである

僕ははじめ一歩も歩けない事を経験した かなり長い間冷たい油の汗を流しながら一つところに立ちつくして居た

お前の第一の為事は何を措いてもようく眠る事だ 眠つて眠りぬく事だ 自分を大切にせよ

彼は人間の卑小性を怒り、その根元を価値観に帰せり

私の生(いのち)を根から見てくれるのは 私を全部に解してくれるのは ただあなたです

ふり返ってみると 自分の道は戦慄(せんりつ)に値する 支離滅裂(しりめつれつ)な またむざんなこの光景を見て 誰がこれを生命(いのち)の道と信ずるだろう それだのにやっぱりこれが生命(いのち)に導く道だった

しかし四方は気味の悪いほど静かだ 恐ろしい世界の果てへ行ってしまうのかと思うときもある 寂しさはつんぼのように苦しいものだ 僕はその時また父にいのる 父はその風景の間にわずかながら勇ましく同じ方へ歩いてゆく人間を僕に見せてくれる

一生を棒に降りし男此処に眠る 彼は無価値に生きたり

時々 内心 おどろくほど あなたは だんだん きれいになる

愛する心のはちきれた時 あなたは私に会ひに来る

牛は急ぐ事をしない 牛は力いっぱいに地面を頼って行く 自分を載せてゐる自然の力を信じきって行く ひと足、ひと足、牛は自分の道を味はって行く

同属を喜ぶ人間の性に僕はふるえ立つ 声をあげて祝福を伝える そしてあの永遠の地平線を前にして胸のすくほど深い呼吸をするのだ

僕は武者ぶるいをした 僕は子供の使命を全身に感じた 子供の使命!

人間のからだはさんぜんとして魂を奪ふから 裸といふ裸をむさぼつて惑溺するのだ

わがこころはいま大風の如く君にむかへり

をんなが をんなを 取りもどすのは かうした 世紀の修行によるのか