王陽明の名言格言59選

王陽明(おう ようめい)

職業:儒学者、思想家、高級官僚、武将 誕生:1472年10月31日 死没:1529年1月9日 出身:明(中国)

思想家として朱子学を批判的に継承し、読書のみによって理に到達することはできないとして、仕事や日常生活の中での実践を通して心に理をもとめる実践儒学陽明学を起こした。一方で武将としても優れ、その功績は「三征」と呼ばれている。彼は、南宋の陸九淵(陸象山)の思想を発展させて、「事物の理は自分の心をおいてなく、それ以外に事物の理を求めても、事物の理はない」という、心即理を明らかにした。また、天地に通じる理は自己の中にある判断力(良知)にある(良知を致す=致良知の説)と主張した。また、知と行を切り離して考えるべきでないという知行合一を主張した。自分の心に理を求めたり、自己の中にある判断力を求めることは、全ての人に可能なことであり、「満街の人すべて聖人」と言った。こうして、儒学を広く庶民の学問に押し広げたのである

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王陽明の名言格言

人の才能や気性はみな同じということはない。立派な人は人を型にはめたりしない。進取の気性に富む人はそれを生かし、律儀な人はその頑なな性格をいかして立派な人物に育てるのがよい

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ただ善を行うことに心を一つにし、死か生か短命か長命かといったことに関しては、我が身を修めて天命を待つだけだ

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人はまず食べたいと欲する心があって、その後に実際に食べてみるという行動を起こしてから味を知る。食べたいと欲する心は意思であり、行動のはじめである

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私は、いったいいつ、あなたに書類整理や訴訟処理をうちすてて、実務から離れて学問を究めなさいと教えたかね。あなたにはちゃんと役人としての仕事があるのだから、役人としての仕事を遂行するなかで学問をしなさい。それでこそ真の、主客関係を正しくするということです。たとえば、ある訴訟事件を訊問調査するという場合、被疑者の態度が横柄だからといって怒ったりしてはいけないし、彼らの陳情が如才ないからといって喜んでもいけないし、罪を軽くするようにと依頼されたことを嫌ってことさら厳しく処罰してもいけないし、その請願に屈服して要求のままにしてもいけない

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修行は一進一退するのが当然である。他人の非難や嘲笑、または栄誉に関わりなく私欲を取り除き、本来持っている善心に沿って生きる修行を怠らなければ、必ず実力を得るようになる

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人は皆聖人である。しかし、時間が経つにつれ私欲が生じ、物欲が生まれ、他人と自分とを一体のものだと考えられなくなる。だから本来持っている聖人の心に戻るために、私欲に打ち克たなければならない

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諸君が努力する際には絶対むやみに進歩しようとしてはいけない。素質のとびきりすぐれた人はまずは皆無なのだから、学ぶ者が、聖人に一足とびに飛躍する道理など無い。起き上がったり転んだり、進んだり退いたりするのがあたりまえの努力なのである。昨日はちゃんと努力できたのに、今日になってできないからといって、むりにとりつくろって破綻のないようなふりをするのは、これこそがむやみに進歩しようとすることであって、さきの努力をさえもすっかりだめにしてしまうから、これは小さな過失ではない。たとえば、道行くひとが、けつまづいて転んだなら、おきあがってまた歩くようなものだよ。転ばなかったふりをして人を欺くことはないのである

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目そのものに実体はなく、万物万象の色が実体である。耳そのものに実体はなく、万物万象の声音が実体である。鼻そのものに実体はなく、万物万象の臭いが実体である。口そのものに実体はなく、万物の味が実体である。心そのものに実体はなく、天地万物と感応して判断された是非が実体である

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一棒痛打しては一筋の痕がつき、一つびんたをくらわせては掌のあざがつく(一棒一条痕、一?一掌血)

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聖人の良知は、雲一つない青空の太陽と同様に全くさえぎられていない。賢人の良知は、片雲のうかぶ空の太陽同様に一部分がさえぎられている。愚人の良知は、黒雲のたれこめる空の太陽同様にすっかりさえぎられている。このように良知の発現に明暗の違いがあるといっても、ちゃんと黒白を見分けるという点は同じである。真っ暗な夜でも物事に黒白を見分けるのは、それこそ太陽の余光がつきていないからである。苦心して学ぶという努力をするとは、この一点の明るさを基点にしてとくと考察していくことなのである

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仕事が上手くいかないことを心配するのは名誉欲や損得の欲にひきつけられて、本来持っている善心を発揮できないからである。大事なのは結果を求めるのではなく、欲に克ち本来持っている善心を発揮することだけだ

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家屋を建設することにたとえるならば、『道に志す』とは、土地を選び資材をあつめてきりもりして住宅を完成させようといつも意欲を持ちつづけることであり、『徳にもとづく』とは、計画がすべて完成し、生活の根拠ができたことであり、『芸に遊ぶ』とは内装を施して住宅を美しく仕上げることである。詩を朗誦し書物を読み、琴をつまびき射的を習うということなどは、実践主体を調教して道に習熟させる方法である。もしも、道を志向しないで芸にうつつをぬかすようでは、もののわからぬ子供が、先に住居をつくることもしないで、やみくもに絵画を買い込んでは正門に掛けようとするようなもので、いったい、どこにかけようというのかね

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われら儒者が主体を涵養する場合、けっして主客関係と遊離したりしないで、ひたすら天然自然の法則にまかせること、それこそが努力することになるのである。仏者は、むしろ、主客関係をすっかり絶縁しようとし、主体を真に存在するものではないとみなすから、だんだんと虚無寂滅の世界に埋没してしまい、世俗社会とはつゆほどの交渉も持たないようになってしまう。だから仏者は天下を統治することができないのだよ

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聖人はいささかのかげりもなく良知を完全に発現しているから、自然と良知のはたらきが中断しないだけのことである。つまりはこれも学ぶということなのだよ。生まれながらにして理解する割合が多いので、「生まれながらに理解し、やすやすと実行する」(中庸)だけのことだよ

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学問は自分の心の中に刻まれるのが第一義である。もし自分の心に照らし合せて、誤りだと思ったら、たとえ孔子の言葉であろうとも、それを正しいとしてはいけない

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転地万物は、人間ともともと一体のものなのだ。最も精密にはたらくのが人間の霊明にはたらく心なのである。風雨露雷、日月星辰、禽獣草木、山川土石の類は、人間ともともと一体なのだ。だからこそ五穀や禽獣の類は、みな人間を養うことができるし、薬石の類はみな病気を治すことができるのである。それはひとえに一気を同じくしているからこそちゃんと通じあえているのだよ

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心は即ち理なり。天下にまた心外の事、心外の理有らんや。ただ心の人欲を去り、天理を存する上にありて功を用ひれば便ち是なり

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此れ聖人の学、至易至簡にして、知り易く従ひ易く、学びて修め易くして才を成し易き所以の者は、正に大端は惟だ心の體の同然に復るに在りて、而して知識技能はあずかり論ずる所に非ざるを以てなり

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他人を論難しようと思ったときには、それこそ一つの大きな私的感情だとみなして克服してこそはじめてよいのだ

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心が明らかになれば自ずと道も明らかになる

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衆人とていとけなき子供のときから、この良知を完全なままもっていないものはいない。かげりが多いというだけのことである。そうはいっても本体としての良知だから、もともと簡単に消滅するものではないので、たずねては学び、かげりを克治するというのも、やはりひとえにこの良知を拠りどころにするのである。学ぶ割合が多いので、それで「学んで理解し努力をかさねて実行する」(中庸)というだけのことさ

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友というものは、欠点を指摘したりするよりは、むしろ助けたり励ましたりすることに重点を置くべきだ

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人はみな胸中に聖人を有している

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天下のこと万変といえども、吾がこれに応ずるゆえんは、喜怒哀楽の四者を出でず

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日常生活や仕事においても、私欲が大きくなっていないか絶えず確認しなければならない。仕事や日常生活においても私欲に克ち本来持っている善心を発揮しなければならない

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友に対するに、相手に学ぶようにつきあえば成長が得られるが、相手の上に立とうとするのは悪いことになるだけだ

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知識をつけることは行動することの始まりであり、行動することはつけた知識を完成させることだ。知識と行動は分けることのできない一つのものである

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聖人は、天地万物を一つのものとみて、生物全てを自分の兄弟か子供と思い、教え養う。全ての人類と私とは別のものではなく全て一つのものである

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人を責めることをやめて、自分の心を正すことが大事だ

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聖人は未来を予知することを重視しない。禍福にみまわれることは聖人とて免れないことだからである。聖人は機を洞察するだけであり、それこそ一つを洞察すればあらゆることがわかるのだ。もし未来を予知する心があるとすれば、それこそ私心であって、利に走り害をさけようとする意図があることになる

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仏教者は親子関係のわずらわしさを恐れるからこそ、親子関係から逃避したのである。君臣関係のわずらわしさをおそれるからこそ、君臣関係から逃避したのである。夫婦関係のわずらわしさをおそれるから、夫婦関係から逃避したのである。おしなべて、君臣・親子・夫婦の関係という現実態に執着するからこそ、逃避することになるのである。吾が儒教では、親子という関係は、それを本来の「仁」という関係に還元し、君臣関係はそれを「義」に還元し、夫婦関係はそれを「別」に還元してしまう。なんで親子・君臣・夫婦関係の現実態に執着することがあろうか

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意思は行動の始めである。だから心に悪が生じれば、正さなければならない。まだ行動を起こしていないからと悪を正さないのは間違いだ。それは思うことは、行うことの始まりであるからである。心を正し、心の悪を退治しなければならない

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険夷もと胸中に滞らず 何ぞ異ならん浮雲の大空を過ぐるに 夜は静かなり海涛三万里 月明錫を飛ばして天風を下る

この名言いいね! 3
学問を教えるときには考えを落ち着かせることを教え、心を省みて私欲を克服させるのがよい。心中の盗賊を追い払うように心を必ず清めなければならない

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心の外に道理はなく、心の外に物はない。全ては心の中にある

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本来持っている善心は善人、悪人の区別なく全ての人間が共通して持っているものだ

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汝の胸中もとこれ聖人。人の胸中おのおのこの聖人あり。ただみづから信じ及ばず、すべてみづから埋倒し了るのみ。道は即ちこれ良知、良知は原これ完々全々、是なるものはその是に還し、非なるものはその非に還す。是非はただそれに依り着き、更に是ならざるところなし。この良知も還たこれ汝の明師

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古今の聖賢のあらゆる議論の端々に至るまで全て、思いに邪なし、の一言で要約できる。これ以上、何を言うことがあろう。これこそ、一を知って百に通じる功夫なのだ

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心の良知、これを聖と謂う。聖人の学はただこれこの良知を致すのみ。自然にしてこれを致す者は、聖人なり。勉然としてこれを致す者は、賢人なり。自ら蔽われ自ら昧くして、敢てこれを致さざる者は、愚不肖の者なり

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人生最大の病患は傲慢の一事に尽きる。子でありながら傲慢であると不孝をしでかし、臣でありながら傲慢であると不忠をしでかし、父でありながら傲慢であると不慈をしでかし、友でありながら傲慢であると不信をしでかす

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良知が完全に実現されるのなら、あなたが実社会から一歩身を退いたところで良知の本来完全を真に理解することも結構なことだし、具体的な社会関係の場で良知を発現することに努力することも結構なことである。良知という本体は、もともと社会から一歩身を退くか社会に積極的に働きかけるか、に左右されないものなのだ

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良知は人間だれにでもあるのであって、たとえきみたちがどうしようと、なくすことはできない。盗賊とて、盗みをしてはいけないとはわかっているから、賊徒といわれると、彼も大いに恥じ入るのだ

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ともかく理解するようにしなさい。どうして記憶する必要があろうか。理解しようとすることさえ、すでに第二義におちてしまっている。ともかく自己の本体を発現しようとすることだ。もし、むやみに記憶しようとすると、理解できないし、もしもむやみに理解しようとすると、自己の本体を発現することができないものだよ

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人々がもしも着実に努力をしたならば、人々から誹謗されようと、欺瞞されようと、それぞれが益となり、それぞれが人格を高める機会になる。もしも努力をしないと、それこそが悪魔のはたらきとなり、結局はそれにすっかりふりまわされてしまうものなのである

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批判されることはとても自分にとって役に立つことである。それはそれに対応しようとして自ら発憤し、ますます心を鍛えることができるからだ

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私の場合、最も重要な点はただ日に減らすことを求めるにあり、日に増やすのを求めることにあるのではない。一分でも人欲が減らせたら、それはその一分だけ天理を回復できたということで、なんと軽快で簡単なことではあるまいか

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知行合一(ちこうごういつ)

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人間の主体そのものは天や淵と同じである。我々の本体はすべてを包括しているから、もともと一つの天なのである。ただ私的欲望にさえぎられるために、天の本体が見失われてしまうのだよ。我々の創造発見するのは果てしがありませんから、もともと一つの淵なのである。ただ私的欲望にふさがれているために、淵の本体が見失われてしまうのだよ。もしいつも良知を発揮することを自覚して、このさえぎりふさぐ原因をすっかり取り去ったならば、本体はもはや回復するから、もとの天・淵になるのさ

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知識と行動を二つに分けることはできない。まず知ることが大事で知って初めて行うことができるという考えは間違いである。知と行はもともと一つのものだからだ

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知の痛切にして誠実なるところが行であり、行の明確にして精密なるところが知にほかにならず

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人はあらかじめ善悪の判断の中にあるのではなく、心の本体は無善無悪。その混沌からほとばしるものこそが真の善である

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ひとえに良知が真に発現するようにしさえすれば、受験勉強をしても、心のわずらいとはならない。たとえ、わずらわされても、容易に気がつき克服できる。たとえば、書を読んでいるときに、むりやり暗記しようとするのは正しくないと良知が判断したなら、すぐさまそれを克服する。速成の効果をあげようとする正しくないことがおこれば、すぐさま克服する。博識を鼻にかけ華やかさを競うという正しくないことがおこったら、すぐさま克服する。こんなふうに一日中聖人賢者と対照するのは、主体者が天理のままになることに他ならない。書を読むにせよ、それとて主体を調え保つことに他ならないから、なんのわずらいもないのだよ

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意図して理解するということもなく、それでいてどんなものでも理解する。良知の本体とはもともとそうしたものである。たとえば太陽は、意図してある物を照らそうとしたことはついぞなかったが、おのずからどんなものでも照らしている。意図して照らすということはなく、どんなものでも照らすというのが太陽の本体である

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子を養いて方に父の慈を知る

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学者一念善を為すの志、樹を種うるが如し。樹の初めて生ずる時、便ち繁枝をぬき、亦た須らく刊落すべし。然る後に根幹能く大なり、初学の時も亦た然り。故に立志は専一を貴ぶ

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聖人を信じて教えに素直に従うのもいいことだが、本来持っている善心に従うほうがよい

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努力することを手がけたばかりで、どうして腹のなかまで光りかがやくようにできようか。たとえば、ほとばしっている濁流を瓶の中に貯えたばかりのときは、はじめは流れがとまっても、やはり混濁した水である。流れをとめて澄ますことしばらくすると、自然と不純物はすっかりなくなって、もとのきれいな水になるようなものである。きみはひとえに良知に立脚して努力しなさい。良知が発現されること久しければ、まっくろなものも自然と光りかがやくようになる。いま速効を求めようとするのは、むしろなくもがなの作為であって、努力したことにはならないよ

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知るは難(かた)く、行うは易し

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人間性を回復する学問にいそしむ場合、あらゆる名声や利益、嗜好などについてはいずれもすっかり洗い落とすことができたとしても、それでもなお生に執着し死を恐れる意識がすこしでも残っていたら、それは不純な意識が融解しないままに完全な本体を覆っていることになる。人間にとって生に執着し死を恐れる意識は、もともと身体を持つ存在として生まれた当初からおびてきたものであるから、その意識を排除するのは容易ではない。もし、このことがはっきり理解でき、すっかり得心がいったならば、我々人間の完全な本体はそれでこそ自由自在に発現し、それでこそ「本性を発揮し天命のままになる」学問なのである

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